ナンバーガールを沖縄で観た。(下)
*ナンバーガールのツアー「逆噴射バンド」のネタバレを含む可能性があります。
整理番号50番で入場した僕が手に入れたポジションは真ん中よりの前から2列目だった。近いなんてものじゃない。いつも地元のライブで名も知らぬバンドを観る距離より近い。エフェクターボードもセットリストが書かれたメモもくっきり観えてしまう。「こんなに近くに本当に観ていいのか..?」高まる緊張感,開演まで1時間をきっていた。
段々と人が入ってきて小さな会場は多くのファンで埋め尽くされた。レトロな照明,低い天井,高い湿度と気温。何度も観たライブ映像の雰囲気そのものだった。まるでタイムスリップした感覚だった。
そして開演。会場の照明が消え,ファンたちが叫び,拍手をする。会場に流れるTELEVISIONの「マーキームーン」17年前と全く同じSEを聴きまた会場がドッと湧く。メンバーの登場だ。本物だ..本物の中尾憲太郎45歳,アヒトイナザワ,田渕ひさこ..そして向井秀徳..。初の生向井秀徳の印象は「ビックリするくらい普通のおじさん」だった。白髪まじりの特にセットをしていないヘアースタイルにメガネ..シンプルな服装..。でも何故か放たれている異様なオーラ。そう。まるで人斬りのような。
4人の姿が現れると同時に後ろにいるファンがどっと前へ押し寄せる。その波に飲み込まれ押し潰されそうになる。正直こんなライブ初めてだった。ライブで身の危険を感じる場面なんて現代にそうは無い。
「那覇シティ〜」向井の第一声。
湧く会場。止まるSE。そしてかき鳴らされた中尾のベース..一曲目は「鉄風・鋭くなって」だ。会場は更に熱を上げた。一曲目で既にファンは全員汗だくである。しかしそれは演者も同じ。向井秀徳の汗のしぶきが照明に照らされる。
ライブの詳細を書き記すのは避けるが,そこには17年前のナンバーガールがいた。衰えを知らず,むしろこの17年で更に磨きがかかったサウンドがそこにはあった。ガニ股の向井のギターはロウが回って会場の空気を奇妙に揺らしていた。そこに鋭くささる田渕のギター。本当に泣いていた。この二人をしっかりと支えるのが一見自由でめちゃくちゃに見えるイナザワのドラムと中尾のベース。本当に17年のブランクがあったのかと疑う4人のグルーヴ。
約2時間のパフォーマンスはあっという間に終わった。着ていた洋服はスコールにうたれたようにビショビショ。しかし不思議と不快感は無かった。
このライブを観たからといって僕自身は何も変わってない。でも何かしら自分の中に取り込んで昇華させる義務が生まれた気がした。
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